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エアーハンマー工法

井戸技術・さく井技術/特殊エアーハンマー二重管掘削工法(ダウンザホールハンマーケーシング併設工法)

さく井技術/新工法エアーハンマー井戸ボーリングのご提案

新工法のエアーハンマー工法は、全国さく井協会「さく井・改修工事標準歩掛資料」にも採用されている工法です。
2010年のチリ鉱山落盤事故の救出孔(外部リンク:プランB、Schramm T130)を最速で成した工法も、このダウンザホールハンマー工法です。

新工法のエアーハンマー工法は、現在主流のロータリー式ボーリングと掘削・施工方法が大きく異なります。
ロータリー式は、泥水掘削→ケーシング管(鋼管、ビニル管)挿入→洗浄仕上げ(最重要)→仮設ポンプ挿入・揚水→水量・水質のテストをします。
この時、「水が少ない層だった」「鉄分や塩分が多い層だった」では大変困ります。なぜなら、この段階で井戸は完成しているからです。
つまり、さらなる水を求めて増掘するには、今より小口径になります。
そのため、ロータリー式では、残念ながら口径も深度も当初からかなりの余裕を持って掘削します。

エアーリフト洗浄 鉄分測定

エアーハンマー工法の井戸は、圧縮空気で先端のハンマービットを振動させて、破砕掘削します。
それと同時に、エアーリフト作用で掘り屑と地下水を、温泉の間欠泉のように噴出させます。これが最大の特徴であり、優れている点です。
水量と水質、地質状況、帯水層を掘りながら把握できるため、成功率が向上します。
上の右写真は、掘削中に鉄分測定を行い、鉄分の少ない層を探します。井戸工事の施工写真はこちらです。

また、掘削能率が非常に高いため、硬い地盤になるほど圧倒的な工期短縮ができます。
一方、掘削能力の高さから機械制御が難しい工法のため、現在主流ではなく、施工業者が限られています。
弊社は大分県で先駆けて導入し、長年の実績と技術力で、大分県随一の水井戸ボーリング施工実績を誇っています。
ボーリング機械自体については、会社案内の保有機材(ボーリングツール)でも紹介していますので、ご覧ください。

さく井技術/特殊エアーハンマー二重管掘削工法の施工スペック

掘削口径
(ハンマー型)
130mm
(TDH300E)
160mm
(SD-4)
190mm
(SD-5)
250mm
(TDH600E)
290mm
(TDH800E)
仕上げ径
(SGP鋼管内径)
100A
(105.3mm)
125A
(130.8mm)
150A
(155.2mm)
200A
(204.7mm)
250A
(254.2mm)
掘削深度
(施工実績)
〜200m 〜200m 〜200m 〜150m 〜100m
可能揚水量
(比揚水量)
〜500L/min 1,000L/min
(150L/min/m)
1,500L/min
(300L/min/m)
2,000L/min 2,000L/min以上

仕上げ径に、ご注目ください。民間工事では、塩ビ管VP100(内径100mm)仕上げが大多数と思います。
理由は、材料が安価で入手しやすいためです。一方、強度があまり無いため土圧で変形してしまう問題があります。
浅井戸用の吸い上げポンプは問題ありませんが、深井戸水中ポンプはポンプの外径98mmに対して周囲1mmの隙間しかありません。
数年経つと、変形や酸化物の固着によって水中ポンプが引揚げられないこともあります。

弊社は、経年のトラブル防止のために、高強度で一回り大きいSGP125A(内径130.8mm)の鋼管を採用し、クリアランスを設けています。
大口径化による揚水量の向上はもちろんのこと、環境変化による水位低下などに対して内部掘り下げの可能性(井戸改修)も考慮しています。
(観測井戸などの場合は、VP管、SUS管、FRP管も施工可能です。観測井戸の施工写真はこちらからどうぞ。)

さく井技術/ダウンザホールハンマー工法の専門的な特徴

【長所】 信頼性、地層への適応性、施工性、仕上げの難易度、経済性に優れています。

  1. やぐらを組む必要がありません。 → 数時間で、すぐに掘ることができます。仮設・撤去は半日です。
  2. 普通工法(ロータリー式)より掘削能率が優れています。 → 岩盤や玉石などが硬いほど、圧倒的な工期短縮ができます。
    【実績例】 阿蘇溶結凝灰岩(竹田市):25m/日。 硬砂岩・頁岩(臼杵市):15m/日。
  3. オールケーシング工法のため、不安定な崩壊性地盤(砂礫、破砕帯、断層)や軟弱地盤にも適しています。
    【実績例】 沖積層・砂質土(大分市):30m/日(実掘削時間:3時間)。
  4. 安定地層になると、オールケーシングから素掘りに変更できます。 → コストを安く抑えられます。
  5. エアリフト作用で、計画水量と水質(鉄分、塩分等)、帯水層の位置が掘削中(仕上げ前)に判断できます。 → ムダがありません。
  6. 泥水を使用しないエアー掘削のため、目詰まりを抑え、わずかな水脈も見逃しません。 → 取水量、揚水量が向上します。
  7. 泥水を使用しないため、産業廃棄物処理が不要です。 → コスト・経費を抑えられ、仕上げ作業も容易です。

【短所】 長所もあれば、短所もあります。大口径と大深度は、従来工法(ロータリー式ボーリング)が優れています。

  1. 掘進速度は、圧縮空気圧と風量(コンプレッサ性能)で決まるため、大口径、大深度は苦手です。
  2. 掘削深度は、弊社の場合はマシンの巻き上げ能力と同じ200m程度までです。
  3. 大量の湧水があると、抵抗のため掘削効率が下がります。岩盤の硬さはあまり影響ありません。
  4. ケーシング併設時は、帯水層を調べる電気検層などの試験ができません。←上記の長所5.の理由で不要です。
  5. 巻線型スクリーン等を使用するときは、素掘りorケーシング掘り(要ケーシング引抜き)が必要となります。
    ハンマー工法では、SGP鋼管のスリット型スクリーンが基本です。
  6. 充填砂利を採用する場合は、大口径で掘削する必要があります。

上記の短所4〜6.は公共工事で要求されます。民間工事では、以下の理由から過剰設計なのかもしれません。
電気検層は、ハンマー工法では帯水層が掘削中に分かるため不必要です。
巻線型スクリーンは、開口率大ですが、SUS-150Aで390,000円/本(5.5m)と非常に高価です。
掘削径と揚水量はチームの法則より、揚水量はLogR(R:掘削径)に比例するため、必要以上に大口径で掘っても水量は増えません。
学術的な実験ではφ200mm程度からあまり揚水量は増えなくなります。

さく井技術/掘削工法比較(手掘り井戸、ロータリー式ボーリング、ダウンザホールハンマ工法)

井戸の掘さく工法にはいくつかの種類がありますが、それぞれに特性があり、いかなる場合でもこ の工法が優れているといったものはありません。
それぞれの工法が、掘さくすべき地層への適用性、 口径・深度、立地条件、経済性などにおいて長所と短所が存在します。
各工法についての簡単な説明を、さく井工事参考資料(工法比較) PDFファイル,502KB)にまとめています。

表「さく井工法比較」